猿の自撮り写真が巻き起こした裁判騒動とは?
2025/07/10

2011年、インドネシアの猿が写真家のカメラを使って自撮り写真を撮影し、その画像の著作権をめぐって大きな議論と裁判が起きました。この「猿自撮り裁判」は動物の著作権と人間の権利の境界を考えるうえで、世界中の注目を集めました。
事件の概要
写真家デイヴィッド・スレーター氏が野生のカニクイザルにカメラを設置したところ、猿がそのカメラで連続して自撮り写真を撮りました。これらの写真は非常にユニークで話題となり、メディアにも多く取り上げられました。
しかし、後にこの写真の著作権をめぐって問題が発生。スレーター氏が著作権を主張しましたが、写真は猿がシャッターを押したものであり、人間ではないため著作権が成立しないのではないかという議論が起こりました。
裁判の争点
著作権は一般的に「人間の創作物」に適用されるため、動物が自ら作成した作品に著作権が認められるかが問題になりました。アメリカの著作権局は「人間以外の動物が作成した作品には著作権は認められない」と明言しています。
このため、スレーター氏の著作権申請は認められず、裁判に発展しました。最終的にはスレーター氏は著作権を主張せずに和解に至っています。
この事件が示すもの
この事件は、AIや動物、ロボットなど「人間以外の存在が作る作品」の著作権問題の先駆けとなりました。法制度が新しいテクノロジーや創作のあり方に追いついていないことを示し、今後の著作権法改正の議論にも影響を与えています。